木の辞典
- 木の辞典-目次
- 自然の木材には色々な種類があり、性質もまた様々です。古来人々は、それらの性質を上手に生かしながら様々な用途に用いてきました。現代でも、木を用いる時には、その用途と性質とを十分に検討しながら用います。ここでは、世界中のたくさんの木の中から、現在日本で流通している木を中心に紹介しています。
国産広葉樹
槐(エンジュ)
マメ科イヌエンジュ属
学名:Maackia amurensis var.buergeri
中部地方でエンジュとかエンジョとかよんでいる木は、正式にはイヌエンジュという名前の木で、クララ属のエンジュ:Sophora japonicaとは木目がかなり違うようです。イヌエンジュは東海以北の山林に自生していて、夏になると白い花を咲かせます。材としては堅い部類の木で、光沢があります。岐阜県の山中にもちらほら見かけます。
用途
独特の色をしていて、床柱、框、落とし掛、家具等に使われます。床柱に使う場合は、白太の部分を残すように製材し、心材の黒色との対比を見せることが多いです。一位(イチイ)と同じような使い方です。
楓(カエデ)
カエデ科カエデ属
学名:Acer mono
カエデ科の木は世界に約200種、日本にも数十種あるが、建築材でカエデといえば板屋楓(イタヤカエデ)を指すことが多い。精肌目で独特の光沢があり、栃のように様々な杢(板にでてくる模様)が現れる。
用途
カエデは堅い木で、床材や敷居などに使われる。その他、楽器や家具の材としても使われる。
欅(ケヤキ)
ニレ科ケヤキ属 別名:ツキ
学名:Zelkova serrata
ケヤキは乾燥するのに時間がかかり、自然乾燥だと10年以上はかかります。白太の部分は腐らせ、赤身の部分だけを残すように何十年も乾燥させたものが最高の材とされますが、希少です。
ケヤキは美しい木目と色、そして堅牢さから、昔から珍重されてきました。また、匂いも独特で、加工していると見なくても香りでケヤキだと分かるほどです。
用途
柱、差し鴨居、造作材にケヤキを用いた家を、欅普請(ケヤキブシン)と呼び、珍重されてきました。現在では欅普請の家はほとんどなくなり、大黒柱、床材、框などに使うことがほとんどです。乾燥が不十分だと狂いやすいので注意が必要です。
桐(キリ)
ノウゼンカズラ科キリ属
学名:Paulownia tomentosa 英名:Paulownia
非常に軽い木で、気乾比重は0.29。欅(ケヤキ)の気乾比重が0.62なので、約半分の重さです。キリは柔らかい木ですが、箪笥など、収納家具には最適な材料として珍重されてきました。会津桐などが有名ですが、最近は中国をはじめ、世界各国からの輸入が増えています。
用途
桐箪笥(キリダンス)が有名なように、家具では高級材として珍重されています。これはキリが湿度を一定に保ってくる上に、耐熱性に優れているからです。そのため、金庫内側に貼ってあったりもします。最近ではキリのフローリング材なども出ているほか、突き板などの芯材にも使われています。
栗(クリ)
ブナ科クリ属
学名:Castanea crenata 英名:
クリと言えば、鉄道の枕木(マクラギ)の材料だったことが知られています。そのことからも分かるように、水に強く、耐朽性に優れています。枕木に使われる以前は栗普請の家というのもあり、建築材料としても一般的な材でした。
用途
耐朽性に優れることから土台に用いるほか、ウッドデッキや遊具など、雨に濡れる場所に適します。また、床柱や落とし掛けなど、意匠用に用いられることもあります。
山桑(ヤマグワ)
クワ科クワ属
学名:Morus bombycis 英名:
単にクワと呼ぶことが多い。クワと言えば蚕(カイコ)の餌として知られていて、1960年代くらいまでは、さかんに栽培されていました。現在では、クワの大径木は珍しく、希少な材となっています。また、クワの実は美味しいです。
用途
クワは、水に強く耐朽性に優れますが、希少なため外部に使われる事はまずありません。その緻密で美しい肌目を生かして、和室の造作に用います。
栃の木(トチノキ)
トチノキ科トチノキ属 別名:トチ
学名:Aesculus turbinata
トチは虎杢(縮み杢)が出やすい事で有名です。杢とは、木理に現れた特殊な模様のことで、その模様によって様々な名前が付けられています。このうち虎杢とは、繊維方向と直交に、波打ったような模様が入るものを差します。
トチといえば、虎杢ともう一つ、その実から作られるトチ餅が有名ですが、最近は作る人はほとんどいません。
用途
家具、床板、床の違い棚などに好んで使われます。杢の美しいものは特に珍重されます。